photo: Yoshio |
広さは2万2530ヘクタールと、沖縄県の石垣市全域の広さとほぼ同じです。 これでもNZでは国立公園としては最も小さい規模となります。
しかしこのエイベル・タスマン、国立公園としては実は国内で最も人気が高く、年間約15万人(2006年)の観光客がトランピング(トレッキング)やシーカヤックを目的に訪れています。
photo: Yoshi |
さて、このエイベル・タスマンですが、私も何度もここを訪れて感じたことは、この国立公園の運営、管理のあり方は、非常に沖縄にとって参考になるのではないかということです。
突然野生のオットセイの赤ちゃんが乗ってきたりします photo: Yoshi |
NZには様々なアウトドアアクティビティがありますが、エイベル・タスマンで最もポピュラーなアクティビティはシーカヤック。
シーカヤックのフィールドとしては、カナダのバンクーバーに続いて、世界で2番目に有名な場所とも言われています。
沖縄のアウトドアアクティビティのメニューの中でも、今、シーカヤックはとてもポピュラーですよね。
一般的なエイベル・タスマンの観光スタイルは、海岸線に沿って原生林のなかのトラックを歩くトランピング(エイベル・タスマン・コースタル・トラックはNZのグレートウォークの一つ)、そして海岸線に沿ってカヤックを漕ぐ、シーカヤック。または海岸線に沿ってウォータータクシーや小さなクルーズ船でポイントを回るツアーです。
ウォーキングトラックから photo: Yoshi |
これは沖縄の海岸線の光景と非常によく似ています。
そのエイベル・タスマン、その全容のマップがこちらです。
見ての通り、公園内には車が入れるような道路はなく、人工物は、一部のロッジや別荘を除き、ほとんどありません。
公園内の施設には電気もなく、当然電線もありません。
一部電気を必要とする施設では、太陽光発電などの自家発電施設でまかなっています。
公園内の人口施設としては、このウォーキングトラック、そして、地図上で三角印で示されているキャンプサイト、あとは数少ないロッジなどです。
この国立公園を管理するDOCの資料によるとエイベル・タスマン国立公園には21のキャンプサイトがあり、山小屋、ロッジを含め、一晩に753人の観光客が泊まることができるキャパシティがあるとされています。この数は、それなりに比較的余裕に泊まることが出来る数だと思われます。
それにしても十分なキャパです。Anchorage photo: Yoshi |
よく見ると、海岸線の砂浜があるところには、必ずといってもキャンプサイトが設置されています。
そして、これらのキャンプサイトは、その大きさなどから、サイト内での細かいルールが決められています。
そして、サイトには下のような看板が立てられ、そのサイトのルールが表記されています。
例えばこの場合、
- キャンプでの最長宿泊日数は2日間まで。
- 50のテントが設営できます。
- ハット(山小屋)の最長宿泊日数は2日間まで。
- ハットには24人が宿泊できます。
- 浄化処理された水が提供されています。
- カヤックは、所定の場所に置いてください。
- 火は所定の場所で使用してください。
- ゴミは各自で持ち帰ってください。
- 犬は禁止。トイレが設置されています
水が浄化処理されてある、とありますが、当然水道が通っているわけではありません。雨水を再利用する際に十分に浄化されているという意味です。
ここ(Anchorage)は、エイベル・タスマンの中でも比較的大きなサイトです。
Anchorage photo: Yoshi |
一方、小さなサイトになると、水が浄化されておらず、沸騰させて飲む必要があったり、火の使用が禁止されていたりします。
ちなみにこのサイトのトイレは水洗です。
photo: Yoshi |
ちなみにキャンプ宿泊の料金は大人一人12ドルですので、約700円。
山小屋の使用料は一人35ドルですので、約2000円。
キャンプの料金や山小屋の使用料金は国立公園、場所によって異なります。
ネルソン周辺で比較するとエイベル・タスマンはかなり高額です。
近くの、カフランギ国立公園などでは、キャンプは無料、山小屋は一人10ドル(約650円)というものが多いです。
観光客は、これらのルールなどを考慮しながらどこのサイトにどう宿泊するか、プランを立てることになります。
全ての情報は、DOCのウェブページで細かく確認することができます。
シーズンの夏場になると、エイベル・タスマンは、本当に多く人でにぎわいます。
キャンプサイトも山小屋も、予約をしないといっぱいで入れない状況になります。
photo: Yoshi |
この時期には、DOCのレンジャーが定期的にサイトを巡回して、利用者の状況を確認しています。
このように、エイベル・タスマンは、DOCのポリシーのもとで、海岸線のアウトドア施設が非常に整然と管理、運営されていて、世界中から多くの観光客をアウトドアフィールドに招き入れています。
Bark Bay photo: Yoshio |
その管理のあり方は、さすがアウトドア王国、エコツーリズム先進国。
国立公園、保護区という理由で、人の立ち入りを全く禁止するのではなく、しっかりとフィールド、ルールを整備して、人を自然に招き入れる。
このあり方は、同じようにシーカヤックなどマリンアクティビティがポピュラーな沖縄県にとって、大きな参考になるのではないかと思います。
特に離島や諸島地域でこのようなNZ流のエコツーリズムフィールドが整備されれば、多くの外国人観光客をも、しっかりと満足させるものをつくれると思います。
photo: Yoshio |
DOCのエイベル・タスマンのマネージメントポリシーは以下のウェブサイトで公開されています。
一部を参考にさせていただきました。
Abel Tasman NP Management Plan(英語)
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