2011年10月4日火曜日

ADVENTURE TOURISM MARKET-アドベンチャーツーリズム6兆8000億円市場

Adventure Tourismについては以前、詳しくご紹介しました。

シーカヤック、ラフティング、トレッキング、山登りからバンジージャンプまで、海、山、川といった自然を生かした様々なアウトドアアクティビティの総称です。

昔も今も、NZのツーリズムを支える大切な柱の一つで、このツーリズム形態についてNZはまさに世界のパイオニアです。

では、このAdventure Tourismについて、世界のマーケットは今どうなっているのか
今回は、それを知ることができる、アメリカのジョージワシントン大学などが去年発行した、ちょっと珍しいマーケットリポート ADVENTURE TOURISM MARKET REPORT をご紹介したいと思います。


この調査は、2009年に北アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパの3つの地域(世界観光機関UNWTOの調査で、国際観光客の出発地として世界の68.7%、国際観光客の消費額の72.8%を占めている地域)の6カ国で行われました。

まずAdventure Tourismの定義ですが、リポートでは下のようにAdventure Tourismの中でも、ハードなアクティビティ、比較的ソフトなアクティビティ、そしてその他のアクティビティと大別しています。

The George Washington University School of Business,
             The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting

調査結果では、6カ国のツーリストのうち、ツーリスト全体の26%、また海外旅行客全体の16%が、旅行中にアドベンチャーアクティビティを体験していました。そして、リポートではAdventure Tourism市場は、世界経済が冷え込む中でも成長を続けていて世界のAdventure Tourism市場の規模を年間890億ドル(約6兆8000億円)(航空運賃やアウトドアギアの購入費を除く)と推計しています。

アドベンチャートラベラーの平均年齢は35歳で、その他の旅行者の平均年齢とされる42歳よりう若干若いほか、よりハードなアドベンチャートラベラーほどパスポートの所持率が高く、海外旅行をする傾向があると指摘しています。

そのほか、アドベンチャートラベラーは、他の旅行形態のツーリストに比べ、初めての地域を訪れ、人との出会いや地域の文化に溶け込もうという意識が強いと分析しています。

また、アドベンチャートラベラーがもっともよく読む雑誌People、そしてNational Geographicでした。

下のグラフは、ハードなアドベンチャートラベラーソフトなアドベンチャートラベラー、そしてその他のツーリストの、過去3回の旅行形態と、今後の旅行形態の意思について調査しています。

このグラフを見ると、まずハードアドベンチャートラベラーですが、もちろんこの領域にある人は高度なアクティビティのスキルをもち、ハイリスクを理解した旅行者ですので、全体の割合としてはとても少ないです。しかし、今後の旅行形態としてハードアドベンチャーを体験したいという人が多いという点は、とても面白いです。これは実際に過去に体験したという実数の約2倍となっています。


The George Washington University School of Business, The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting

そして、ソフトアドベンチャートラベラーですが、これは全体の旅行者のおよそ25%を占めています。この領域にあるトラベラーの特徴は、様々な旅行先で、いろいろなアクティビティを楽しみたいという傾向が高いことです。Adventure Tourism市場の最も有効なターゲットとなっている層です。この領域の特徴も、過去に体験した実数より、次回に参加してみたいという意識が高くなっていることがわかります。つまり、アドベンチャーアクティビティについては、今後やってみたいというツーリストの意思自体は非常に高いということが分かります。


旅行中のツーリストの消費額ですが、これも、ハードアドベンチャー、ソフトアドベンチャー、その他の旅行者と3つに分けてみてみると、以下のようになっています。


 The George Washington University School of Business, The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting
旅行中の消費額が最も多いのは、ソフトアドベンチャートラベラーです。そして、最も少ないのはハードなアドベンチャーの層です。これは、ハードアドベンチャーを楽しむ層は、あまりツアーオペレーターなどを依頼せず、独自に楽しむ傾向があるためとみられます。また、この調査結果からも、ソフトアドベンチャーの層は、マーケティング上、非常に有効なターゲットとなります。
ただし上の二つ目のグラフを見て分かるように、実はハードアドベンチャートラベラーは、アクティビティのギアの購入費にかける消費額は特出しています。アウトドアギア市場では最も有効なターゲットになる層でもあります。

リポートでは、一般的にアドベンチャートラベラーは、他の旅行者に比べ、アウトドアギア、洋服にかける消費額が高いと分析しています。これは、ある意味当然のことですが、注視する必要があります。たとえば、NZのアウトドア用品店の数は、通常の町のスケールなどを考慮すると非常に多いと思います。しかも商品の金額は、個人的な感想ですが、かなり割高です。それでも、売れている。アドベンチャートラベラーは、アクティビティに関わるギアのショッピングも楽しみの一つですから、観光地でのこうした経済効果はとても大きいでしょう。

このほか、調査では、ハードアドベンチャートラベラーの70%が大卒以上の学歴をもっていて、ソフトアドベンチャーではそれが63%その他の旅行者では47%以上がいわゆる短大以上の学歴となっていて、ハードなアドベンチャーを体験するツーリストほど高学歴で高収入の傾向があると指摘しています。これも面白いことです。実際、フィールドでは泥や汗にまみれても、いったんフィールドを離れると5つ星のホテルでリラックス、というスタイルを楽しむアドベンチャートラベラーは少なくないようです。

そのほか、リポートではアドベンチャーツーリズムのマーケティングについて、いくつか調査を行っています。旅行前の情報収集方法は関心があるところですが、やはりオンラインで現地の情報を集めるのはかなり常識となっています。

The George Washington University School of Business, The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting 


The George Washington University School of Business, The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting

The George Washington University School of Business, The Adventure Travel Trade Association, and Xola Consulting

もっとも一般的なのはやはり旅先の地名を「ググル」こと。また、アドベンチャートラベラーの40%は、目的地の公式ウェブサイトを訪問しています。そして約20%はブログを含めた、ソーシャルメディアを利用しています。多くがフェイスブックで、友人のフェイスブックのアルバムにある写真から、旅をイメージしているとしています。これらから、リポートではフェイスブック上の広告の有効性を指摘してます。

さて、いろいろとご紹介しましたが、これらの結果などからリポートではAdventure Tourismについて次のように述べています。要約ですが…

Adventure Tourismは自然環境や地域の独自文化が好きな多くのツーリストを呼び寄せるもので、持続可能な開発など、都市部から離れた域社会にとって貴重なビジネスチャンスとなります。調査結果にもあるように、多くのツーリストは、今後の旅行でより深く、アドベンチャーアクティビティに参加してみたいと思っていますし、アドベンチャーアクティビティでより多く消費したいと思っています。
photo: Yoshi
しかしながら、多くのツーリストは依然として「その他の旅行形態」にとどまっています。観光地や、観光関連業者は、もっとマーケティングを、この魅力的な市場にシフトするべきです。ツーリストの願い、つまり、より自然に、より文化的に、よりアクティブに、そしてより地域のコミュニティに深く関わりたいという旅行者の願いをかなえていかなければなりません。今回の調査結果は今後のAdventure Tourism市場にとって、非常に明るい未来を示しています。


Adventure Tourismについて詳しくご紹介しましたが、これはぜひ沖縄でも今後深めていきたい分野だと思います。

確かに沖縄では、国内客をマーケットにした市場はほぼ成熟しているように思いますが、国際的なレベルでのAdventure Tourismという意味では、まだまだそのポテンシャルは十分に発揮されていないと思います。とてももったいないことです。

何度かご紹介しましたが、NZ人に沖縄のカレンダーを見せると誰もが感嘆の声を上げます。
沖縄の自然、文化は、世界中の多くの人をひきつける魅力があります。

NZ的に表現しますと「100%ピュアな沖縄」を、もっと発信していければと
強く思います。



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