2011年12月20日火曜日

Sunny Nelson!

 今回は、私が留学生活で一年間過ごした町、ネルソンをご紹介したいと思います。 


                                ネルソンの街          photo: Yoshi
 ネルソンは南島の北端にある人口4万6000人の、市の人口としてはNZ国内では9番目に多い、中規模の町です。 南島のクライストチャーチより北では最も大きな町となります。歴史は古く、南島では最初に移住が始まった場所と言われています。 そんなネルソンの代名詞は「サニーネルソン」。東西を大きな山脈の囲まれていることなどから、ネルソンはNZ国内でも屈指の晴天率を誇っていて、比較的気温の低い南島の中でも、年間を通して温暖で、場所によってはちょっと沖縄に似たトロピカルな雰囲気を楽しむこともできます。

 ネルソンは、国内に14ある国立公園のうち、3つに囲まれていて、自然環境に恵まれていることでも有名です。熱帯性の海岸線を巡るエイベルタスマン国立公園でのシーカヤックは、世界的にも有名なシーカヤックフィールドです。

 カフランギ国立公園では、太古の森から古代の化石まで、表情豊かな景観を楽しむトランピング(トレッキング)が人気です。また南にあるネルソンレイクス国立公園では、切り立つ山々と湖とのNZらしい壮大な景観を楽しむことが出来るほか、冬にはスキーも人気です。海から山まで、一年を通して、美しい景観や様々なアクティビティを楽しむことができるのが特徴です。 

           ネルソンレイクス国立公園       photo: Yoshi
 そしてネルソンと言えばアートの町。町のいたるとこに大小様々なギャラリーが点在していて、ふらりと立ち寄ることができます。中にはちょっと町から離れた、農場が広がる田舎にもポツンと素敵なギャラリーがあったりします。町の中心部もとても美しいですし、散歩道にもちょっとしたアートが飾ってあったりします。 

            ネルソンの街      photo: Yoshi

 そのほか、ネルソンやお隣のマルボロ地方は、ワインの生産地としても有名で、特にソーヴィニヨン・ブランは格別です。最近ではそうしたワイナリーを巡るワインツアーも人気です。ほとんどのワイナリーではテイスティングを楽しめますので、お気に入りの一本を探すことができます。 

                     photo: Yoshi
 そんなネルソンですが、観光地としての認知度はまだまだ低いです。南島では圧倒的な人気を誇るクイーンズタウン周辺からは距離的に相当離れていることなどがその理由だと思われます。一方で、そんな名だたる観光地に負けない景観を有するネルソンで、多くの観光客に揉まれることなく、ゆったりとした時間を過ごすのは最高の贅沢でしょう。
 
                               photo: Yoshi
 ネルソンだけでなく、NZにはまだまだ、そんなあまり知られていない個性豊かな美しい多くの街があります。旅行中、通過するつもりで寄った町に、素敵な発見があったりもします。そんな街を巡るNZの旅、おすすめです!


2011年12月14日水曜日

ACCとは?

アドベンチャーアクティビティの盛んなNZですが、万が一事故が発生した場合にも、NZには特別なシステムがあります。それがACCです。
ACCとは(The Accident Compensation Corporation)の略で、NZの公的な事故補償制度のこと。


ACCについてNZ政府観光局のウェブサイトでは以下のように説明されています。
「旅行者が事故で負傷した場合、NZの事故補償制度(ACC)が適用されます。NZでは事故の加害者や当事者に対し損害賠償を請求することができません。かわって医療費用をACCが支払うことになっています。ACCは事故に遭った旅行者がNZにいる間の、一部医療費用ならびに入院費を補償します。」 


このように制度の特徴は、アウトドアアクティビティからスポーツ、交通事故まで、NZ国内で発生したあらゆる事故については、国民や旅行者を問わず、ビザが何であれ全ての人を対象に、その治療費や葬儀費用等から補償金までが、国民の税金から公的にカバーされるということです。ちなみに病気は対象になりません。 

そのため、前にあるようにNZでは一部の例外を除き、法律上、例え過失があった場合でも事故の加害者や当事者に損害賠償を請求することができないシステムになっています。
これは、事故をめぐる当事者間の争いを避け、訴訟にかける当事者同士の膨大な費用や労力を考慮したNZ独自の制度で、1974年に設置されました。


財政問題など、いろいろと課題は抱えているようですが、なかなか素敵な制度だと思います。


ちなみに今年クライストチャーチで発生した地震の被害者や遺族に対しても、このACCから総額で約225億円(地元紙)が支払われたということです。


from THE PRESS


さて、このACC、私自身も先日ちょっとお世話になりました。
実は先日、学校の実習でマーチソンという場所でラフティングをしていたのですが、地元では有名な急流ポイントの一つでラフトから転落し激流に飲まれる羽目に…。
ロープでなんとか救助されたのですが、水中で膝を激しく岩にぶつけたために、膝が異常に腫れてしまいました。 歩くことはできたのですが、異常な腫れだったので、念のためネルソンの総合病院の救急で診てもらうことにしました。 






ACCの存在は知っていましたので、恐らくカバーされるだろうという安心感もありました。


救急窓口でしたが、まず受付では怪我の経緯について、かなりしつこく質問されました。 


そして、診てもらう前に膨大な書類を書かされました(; ̄O ̄)
これにはさすがにちょっと辟易しました。
書類で5、6枚は書かされたでしょうか。 
身分などに関するものから、事故の詳細までです。 


日本ではこうした場合、経緯よりも先に目の前に患者がいるわけで、もう少し早い段階で診てもらえると思うのですが、やはり私の怪我が事故なのかどうか、ACCでカバーされるものなのかどうかについて、手続きはかなり慎重に行われているようです。もちろん、切迫した容態の時は対応は違うでしょうが…。 

で、ようやくお医者さんに診てもらうことができました。 
幸い骨などに以上はなく、数分で終わりました。 
で、支払いなどは一切なく、そのまま病院をあとにしました。 


そして後日、ACCから、私のケースを事故と認定したとの趣旨の書類が郵送されてきました。
これが私のACC体験談です。 



法廷闘争をしない。
事故が誰のミスであれ、速やかに被害者を救済する。 
この制度を巡ってはNZ国内でも常にいろいろと議論になることがあるようですが、世界に他に類を見ないこのシステムは、社会の公平性を確保する上でも多くの国民の支持を受けていると言われています。 


最初に聞いた時はちょっと驚きの制度でしたが、制度が観光業に及ぼす影響は決して少なくないでしょう。 


特にアドベンチャーツーリズムを主体としたアクティビティが非常に盛んなNZ観光では、リスクマネージメント上、事故の補償は非常に重要な課題です。


まさにNZらしいシステム。 
これはあらゆる点で、簡単には日本と比較できないですね…




ACCの詳細はこちら

海外旅行保険加入の勧め
ACCの存在を理由に海外旅行保険に加入されないのはお勧めできません。

以下、政府観光局のHPから。


「ACCは事故による治療費用やリハビリテーション費用を負担しますが、一部費用は旅行者が支払わなければなりません。重症で治療が長期にわたる場合には、査定された治療費用を一時金として受け取ることができる場合もあります。
ACCはたとえ事故が原因でも、遅延や短縮による旅行費用、帰国のための費用、自国での治療費用、そして治療中の給与保証を支払うことはありません。もちろん疾病は対象外です。
従って、出発前に個人で任意の旅行傷害保険に加入することを強くお勧めします。ニュージーランド国内の公立/私立の医療機関では高水準の医療サービスを提供していますが、事故でACCが補償する場合を除き、すべての治療は有料です。」